鯉冥士の物語 #75
鯉冥は、地平線の見える野原に立っていた。そんな土地は現実ではない。夢の中で「現実ではない」と言えば違和感があるかもしれないが、鯉冥にとっての夢中は、魂から観た世界なので、信頼性のある現実である。それを再認識して頂きたい。つまり既知の土地としては、在るはずのない景色なのである。其の野原の向こうに人が3人居た。一人は立って、一人は座って、一人は寝そべっていた。鯉冥は近寄って行き「此処は何処」と聞いた。「死神だよ」と寝そべっている人が答えてくれた。「おじさんが誰かじゃなくて、此処が何処かを知りたいんだ」と鯉冥は改めて聞いた。すると座っている人が「此処が死神なのだよ」と念を押すような発言をした。
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