冷花伝 #068 異性に贈る言葉
尊霊界が舞台の壮大な話を語っている。しかしこれは冷花と云う女 性の物語なのだ。そして冷花は生粋の人間である。 だから笑いもすれば泣きもする。当然、怒(おこ)りもする。 と云う風に言葉は続くのだが、ここで立ち止まって考えるのが、 冷花伝の面白さなのだ。更に度々(たびたび)話す「 尊霊が怖がる理由」を具(つぶさ)に紹介すること。 それが作者が担っている最も重大な使命である。それでは先ず「 女の子」としての冷花を観てみよう。再び仙女の舟会(ふなえ) がやって来た時、冷花十歳の誕生日であった。そして「 冷花さんは好きな男子(おのこ)がおるのですか」 と言ったのを思い出して欲しい。舟会は冷花の話す内容から察した ようだが、冷花は目を顰(しか)めて「そんな者はいないよ」 と否定をした。それまでの会話を詳しく語りはしないが、舟会は二 百歳を越える仙女である。冷花流の言い方をすれば「女を二百年も やっている」のである。そんな舟会が、態々(わざわざ) 出した話題であるから意味がある。成行はこうだ。自分が昴女だと 言われることで注目(ちゅうもく)されている。その「 注目される」ことから話が逸(そ)れて、冷花が「注目される男子 (おのこ)」について話し始めたのである。ここで重要なのは、 その話に舟会が大いに感心したことである。冷花は汝我の血筋で あって、占星術師の家柄で育った。だから幼少より占星術に触れて いる。つまり、自然に身についている占学思想が男子を語る要素に なっているのだ。九歳になったばかりの少女が、 熱く語る異性へ贈る言葉。其処には、普通の女の子も居た。