冷花伝 #010 産声の意味
何かと話題を提供する冷花だが「無事に産まれました」だけでは終わらなかった。冷花の産声が特殊だと、尊霊界では大騒ぎになったのだ。ところで産声と云うのは、母親の胎内から出て肺呼吸に変わっての第一声だ。どの様な声かは、出産に立ち会った経験者なら御存知だろう。ところが此の話題の舞台は尊霊界である。だから聞こえ方が違う。「声」と云うよりは「音」と表現するのが適切だ。普通は「ひゅー」と、やや掠(かす)れたような響きだが、冷花の其れは「とぅおーん」と云う金属音だった。金属といえば、昴星(ぼうせい)は金気(こんき)の旺(おう)だから。等と勘繰(かんぐ)るかもしれないが、とにかく其の様に聞こえたのである。要は「普通と違う」だけで意味深くなってしまうのだ。それでは人間の耳では、どの様に聞こえたのか。おそらく普通の赤子だったと思うのだが、作者の趣向で呪文のように「遠伽(おんぎゃ)」と挙げたことにしておく。
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