冷花伝 #014 御山から海へ
甲子が難産かと心配した折、父が尋ねた巫が居(お)って、その巫は射膳(しゃぜ)と云う名で「御山(みやま)の麓(ふもと)に行く」と言って姿を消した。さて、その御山とは何処(どこ)なのか。安易に明かしてしまうが、それは彼(か)の富士山である。射膳が向かった「麓」とは、山裾(やますそ)のことではなく「麓」と云う地名なのである。現在の沼津辺りだ。確かに富士の裾野は広く、当時の飛仙女なら「海まで続いている」と観ていたのであろう。これは噂であるが、この辺りでは現在でも飛仙女が目撃されるそうだ。富士山頂から淡島に向かって飛行する女仙を想像すると、当(まさ)に清々(すがすが)しい限りである。そして白状すると、作者は此処で飛仙女を見たのである。と云っても私が自分の妄想を噂に仕立てたのではない。その噂は八百年ほど前から始まっている。何分この文は小説に分類しておるので、何を言っても自由である。更に調子に乗って、展望確立を上げる秘訣を話しておく。展望地は三島が最適だ、三嶋大社に参拝して空を見上げるのはどうだろうか。飛んでいる時に遭遇する確立は少ないが、四魂(しこん)の働きで過去の映像が観えるかもしれない。そして其れが、冷花であることも有り得る。
コメント
コメントを投稿