冷花伝 #001 菜田の幽霊
冷花の出生は明らかではない。但し其れは人間界の記録に関してである。「尊霊界の記録によれば」と云う表現をすれば、彼女の記録は至る所に在る。出生を記録しているのは菜田(なた)の仙町録(せんちょうろく)。十六歳の冷花によれば「菜田には幽霊が沢山居って威張っている。もっと大人しくしていれば威厳もあるのに。可哀想な奴等(やつら)だ」と、述べられている。ところで時代考証であるが、源頼朝と名乗る皇族が武士になっていた時代である。現代の読者なら「鎌倉時代」と認識してもらえれば分かり易い。更に調子に乗って、菜田の所在特定をしておく。生田神社の近くである。仙町録曰く「昴女(すばるめ)が現れた」やや神様を驚かせたことから始まるのだが、彼女は昴女ではない。要するに冷花の人生は「八ヶ月の胎児が、昴女と間違えられる」ところから出発する。
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