冷花伝 #003 占星術師

現代における占星術師は、冷花が生まれた頃の其れとは随分違う。今は違う。とだけ言っておくが、徐々に紹介するので安心して読文を続けて頂きたい。そしてもう一つ、冷花伝は尊霊界から始まる。嗜乃津(たしなず)から西方へ、海岸に沿って半日ほど歩けば為津(なしず)と云う村がある。其処の尊霊に占星術師が居た。人間として生きていた頃は官職に就いていた者で、天文暦法を生業(なりわい)としていたのだ。村が旱魃になった折「雨乞などをして村人を救った」とか云う誉れがある。名を汝我(じょが)と申して、尊霊になってからも同名を使用していた。汝我が為津の尊霊になって5年が経過した頃「昴の気が濃くなった」と噂が広まった。尊霊界から観える天円は、人間界とは絵柄が違う。「気が濃くなる」とは、見え方が明るくなったようなものだと例えておく。そして其の現象は、汝我の経験と占学から「昴女(すばるめ)が人間に生まれる」と判断されたのだ。噂は近隣の尊霊界に広まり、翌年には富士尊霊界まで届いた。

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