冷花伝 #004 尊霊界こと始め

ここで、尊霊界が形成された「事始め」を簡単に語っておく。但し作者の説明ではなく、冷花が十八歳に語った言葉を引用する。人間が何季(いつ)生まれたかは知らぬが、村を作って集まりだした。村の中では強い者が弱い者を助け、他村の侵略を防いだらしい。どの村でも伝えが在るが、滅びずに続いてきた村には守護霊が居る。村を護ってきた強い者も、老いては護れなくなる。大昔は分からないが、観える世で推せば人間は百年も生きない。ある村での出来事。守りたいもの、特に幼子を護れずに死を迎えた女の一人が純な魂へ帰らなかった。彼(あ)の世に行かず、此の世を彷徨(さまよ)った。書によれば、そのようなものを「亡者」と記してあるが、事もあろうに其の女は村を護れるようになった。その女を「昴女(すばるめ)」と言うそうだ。誰をどのように呼ぼうが勝手であるが、昴女と呼ばれる女は違う。別に居る。亡者の昴女と、亡者でない昴女には同様がある。それは「彷徨った」ことだ。違いは、亡者の方は死んでも死にきれずに彷徨った。彷徨った処は人間界の外壁周囲。其処が後に整備されて尊霊界と鳴った。亡者でない昴女は、魂の世界からやって来た。そして人間界を彷徨った。要は、戯(たわ)けな神様だ。ところで亡者の昴女は沢山発生している。だから尊霊界は大きくなって、人間界の隣に居場所を得て神界になった。但し神界と呼ぶには御粗末(おそまつ)なものだ。そして亡者でない昴女は、たぶん御一方(おひとかた)しか居ない。

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