鯉冥士の物語 #96
小さな事に囚われていると、それ以外のことに気付かなくなる。鯉冥は天文学者だから「一つの星に囚われていると、無数に在る星々の挙動に気付かない」と置き換える。天円に散りばめられた星は常に何かを語っている。それを聞く為には、一つの星に縛られてはいけない。全体を一つとして感じ取るのである。このような考え方が華厳経の世界なのだが、もし一部の仏教学者から「本当の華厳経はそんなものではない」と言われたとしても、論争する気はない。これは鯉冥士と云う唐女が「死神から聞いた話です」と応(こた)える「言葉」を用意しておこう。更に本音を云うと「此れが五相方論の世界」である。つまり五相方論の中核思想は鯉冥士に由るものであり、死神の語りなのである。印象よく表現するなら「青龍の想い」とでも言っておく。
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