冷花伝 #018 先落ちの仕組み

それでは、末目彦が菜田へ旅立ったことを語る。今までの流れから「尊霊界の危機を救う為」であることは分明だが、此れが切っ掛けになって仙町録が厚みを増して行く。要するに、末目彦が多く執筆をしたのである。ところで「尊霊界の危機」であるが、最悪は界そのものが壊れてしまうことだ。原因は、尊霊方の念積が積もって環境破壊をしてしまうと考えればよい。上の神界が壊れた場合は、界落(かいおち)となって、界そのものが壊れるのではなく、重くなって階層が下がるのである。階の字を使っているのは理解を促すためだ。そして現在の観測では、神界は十三階層だと認識されている。菜田の尊霊界は特殊な経歴があって、十二階層から界落して尊霊界になった。だから環境維持の技術を研究している。名称が有名な「龍宮界」の一つなのだ。話は変わるが昔、浪速宮が盛んだった頃「桜巫女(さくらみこ)」と云う仙女が居た。彼女は富豪だったが七十七歳になった冬、ある仙人と出逢って「不老の積帯」を売ってもらった。それで若返り、女仙になった。彼女には子供が二人いて、二人とも母を慕って、教えも受けた。そして立派な人生を遂げ、一人は尊霊になった。あと一人は普通に転生した。仙町録によれば、尊霊になった桜巫女の息子が、末目彦だそうだ。末目彦が菜田へ行ったのは、桜巫女が菜田の尊霊界に滞在中だったからだ。どうやら桜巫女は、菜田の尊霊界に滞在する前に嗜乃津の尊霊界に五年の滞在をしていたらしい。

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