冷花伝 #026 昴女と帥升

帥升に関する伝説は五伝在って、全てに「芽込羅(めこめら)」が登場する。共通は「お姉様に言われて此処に来ました」との言葉である。全てで違っているのは出逢った地。先ずは既述の三増(みませ)、次に炉味(ろみ)、王士(おし)、宅星(たくせい)、そして保津(もつ)。現代の地名に相当させると、炉味は大分県国東(くにさき)市、王士は福岡県築上(ちくじょう)町、宅星は福岡県北九州市、保津(もつ)は佐賀県唐津(からつ)市。次に伝承族を述べると、冉(なみ)族が伝えているのは三増での出逢い。炉味での出逢いは浮気伝。王士での出逢いは王士伝。これは王士尊霊界の記録である。宅星は星名女(ほしなめ)の語りであるが、師の龍子舞(ろこまい)に教示されたそうだ。保津については多くの尊霊界が伝えている。そして其々の伝承を比較すると面白い。三増に現れた芽込羅は、豊満な身体に鋭い眼、背は成人のよう。炉味の芽込羅は童女で背も低く、甲高い声で話すが眼は乙鳥(おっとり)している。王士の伝承は、作者が採用している芽込羅である。十五歳くらいの少女で優しい表情が特徴だ。口数は少ないが明瞭に話す。宅星に現れた芽込羅は、尻が隠れるほど髪が長い。常に微笑んでいたそうだ。保津で出逢った芽込羅は話好きのようだ。流暢に話すだけではなく、仕草も小まめである。何れ、夫々の芽込羅を語る機会もあろうかと思われる。一方、帥升の記述は炉味を除いて、眉が濃くて筋骨隆々。背丈は普通である。炉味での帥升は細見で背が高い。

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