冷花伝 #030 冉族の祖

冷花十歳の巳月15日、舟会がやってきた。再々の訪問を受けるようになってからは、甲子が主に相手をしている。冷花としては舟会の話に興味が湧かなかったのだが、今回は聞き入ってしまう。内容は、黄泉国(よみのくに)の起こりについてだった。母から聞いていた黄泉国(よみのくに)は、遠い国に在る特殊な尊霊界。今風に言えば「外国」のイメージで、アメリカと云う国、フランスと云う国、といった感じと同じで、冷花にとっては興味対象にならなかったのである。尊霊界ならば嗜乃津(たしなず)にも在るし、他村の伝説にも面白い話が椀咲(わんさか)ある。ところで、古事記に記載されている黄泉国(よみこく)物語は、天皇家の為に纏(まと)めた符文である。国勢を括(くく)るために神話として顕したものなので、現実の黄泉国由来(よみこくゆらい)を説く目的はない。ところが舟会の話す黄泉国(よみのくに)は、尊霊界と妖精界、それに人間界とが繋がっている。冷花は理屈の通らないことは嫌いで、何でも理由を聞きたがる。そして話に矛盾が在ると、直ぐに判る。但し「自分の知識は少ないから」と、常に思っている。そう云う意味では賢い人間に属する。賢い人間とは「自分の知らないことの存在」を常に意識できる人間のことだ。決して自分だけが正しいとは主張しないのだ。この教えは、母が話す浮気伝の至る所で語られている諭(さとし)である。前置きが長くなったが、冉族の故郷は正に黄泉国(よみのくに)である。祖は伊佐那輝羅(いさなきら)と云う仙女で八禮(やらい)の人。八禮とは現在のベラルーシに相当する。そして黄泉国は、今のアフガニスタンである。

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