冷花伝 #045 黄泉国の風
冷花十一歳の辰月19日、舟会がやってきたが、今回の来訪には大きな目的がある。それは冉族の伝説「黄泉国の風」について、冷花の見解を聞くことであった。こんな書き方をすると、十一歳になったばかりの少女に凄い知識があるように見える。確かに結果は其れで良いのだが、十歳の卯月に一大転機が訪れたのである。十歳の卯月と云えば十一歳になる前月であるが、16日、蘇支(そし)が話しかけてきた。「積(つも)龍神様が私に、冷花さんとの通架役をしてくれと言われております」冷花は其れに「何(なん)で」と返したが、蘇支は困った様子で「理由に関しましては、これから判明するかと」と云う具合(ぐあい)に答えた。その反応が面白かったのか、冷花は笑いだした。ここで、今からの話が理解し易(やす)いように復習をしておこう。蘇支は菜田の尊霊で、色んな出来事を記録している文刈(もんかり)である。文刈とは歴史学者のようなものだが公職の文官ではない。そして積龍神は冷花の守護龍神である。積龍神は冷花との会話を欲しているのだが、冷花は人間なので、龍神の声が聞こえにくい。蘇支は尊霊なので、龍神の声が聞こえる。冷花は尊霊との会話が出来る。だから蘇支を挟めば、積龍神と冷花に会話が成立するのだ。それから積龍神が冷花を守護している理由を思い出して欲しい。それは「暦神の結束」を援護する為である。「暦神の結束」とは、昔の仲間が同期転生して事を起こすことである。つまり冷花は、昔の仲間たちとの遭遇を果たさなければならないのだ。それを見守る為に、積龍神は冷花を守護している。それでは冷花は昔、仲間たちと一体何をしたのだろうか。前置きが長くなったが、其れが舟会がやって来た目的「黄泉国の風」に関する事なのである。さて冷花が十歳の卯月に訪れた一大転機とは「積龍神との会話が出来るようになった」ことである。そして冷花にとっては生きる目的が判明したことであり「黄泉国の風」について、積龍神が語り始めたことによる。
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