冷花伝 #047 弓鳴りの共振
今回は大昔の話をしよう。と云っても人間は既に居る。冷花は鎌倉時代の女だが、魂ならば大昔にも居る。そして前世ともなれば、人間として生きている訳だ。神々と人間の交流が頻繁だった時代、一部の龍神族も人間と交流を深めた。積(つも)龍神が冷花を守護する経緯も、その大昔から始まっている。帥升(すいしょう)と昴女が出逢う千年以上前、人の念積が絡み合って多くの連妖が発生してきた。当然そのころ既(すで)に、大陸と日本列島とは海で隔たれていた。ところが連妖の路は残っていたのだ。つまり連妖の内部を辿って行けば、日本列島と大陸が往来できたのである。もちろん普通(ふつう)の人間は通れないのだが、特殊な仙人や尊霊なら通れる。連妖は妖精界が連なったものだから、当然のことながら魔物も往来する。さて、尊霊界が異常に発達した地域を考えてみよう。日本列島では富士山周辺、身近な外国ではアフガニスタンあたり。この2カ所が橋台(きょうだい)となって、連妖による大吊橋が形成された。日本神話に在る、伊奘冉(いざなみ)が黄泉国へ行った通路である。この大吊橋を以後、黄泉路(よみじ)と呼ぶことにする。日本側の黄泉路門は富士尊霊界に締縛されている。言い方を変えれば、黄泉国の入口は富士山に在るのだ。やや複雑な話ではあるが、日本神話に富士山を登場させない理由の第一原因だと思っていただきたい。ところで此の話は、冷花伝を語る上での基礎知識である。そして星名女が音象詩に記している「弓鳴り」が重要になってくる。黄泉路は長く大きい。そして、その発する「弓鳴り」は共振を齎(もたら)し、地球に棲息する生物を脅かし始めた。しかし積龍神は人間と協力して「弓鳴りの共振」を防いだ。何千年も昔のことだ。
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