冷花伝 #049 大小の目的
この辺で現代の例えから導入してみよう。人生の目的には大小色々ある。さしずめ受験生なら「希望校合格」が大きな目的である。更に大きな望みなら「自分の家を持ちたい」とか、願うこともある。そんな例を挙げれば無制限に在るのだが、作者が此処で言いたいのは「冷花伝における目的の大小」である。其れを説明しておかないと「冷花が何を行(おこな)おうとしているのか」が掴(つか)みにくいはずだ。そこで先ず「小(しょう)なる目的」とは何か、其れは人の一生内で達成しようとしている目的だ。ならば「大(だい)なる目的」とは何か、其れは前世から掲(かか)げている目的である。此れまでの冷花伝を読めば、物語の時間域と舞台が広大であることは感じていただけたと思う。しかし読み進めて行く内に「何(なん)の話だろう」と立ち止まってしまうこともあるだろう。本段は其れを防止したいと願う「作者の目的」である。「余計にややこしくなるではないか」との意見も出るだろうが、それも承知している。そこで言葉を変えると。先にネタバレさせておこうと云うのだ。推理小説ならば「謎が解けて完結する」が、冷花伝は「謎を解いた上で」冷花の行動を追って行く所存だ。とは言え、世の中は謎に溢れている。細(こまか)い謎解きならば粉弾(ふんだん)に在る故、冷花伝は退屈な文章ではない。それでは「大(だい)なるネタバレ」から云うと「神も人間も力を合わせて、尊霊界の整備をしている」のだ。尊霊界は人間界を護る御先祖集団だから、結果として人間が平和に暮らそうと云う目論見である。その時間域は千年単位が必要なので、スタッフの人間は何度も生まれ変わる。生まれ変わったスタッフが再集結 することを「暦神(れきしん)の結束」と云う。この用語は既(すで)に耳慣れしているはずだ。ところで「暦神の結束」は自然現象の様に働いているが、其の背後は主に龍神が担(にな)っている。龍神の寿命が千年単位である所以(ゆえん)だ。分かり易(やす)くする為に、冷花伝では「積(つも)龍神」がその代表だと覚えておくのが良い。当然主人公は冷花だが、冷花を守護しているのが積龍神である。冷花は人間だから短い一生を「小さな目的」として、千年単位で積み重ねて行く。つまり転生する冷花を積龍神が見守っているのである。「冷花伝」とは鎌倉時代に行われた「暦神の結束」を、冷花を追うことによって明かす「物語」なのである。
コメント
コメントを投稿