冷花伝 #050 前世の記憶
ある人間たちは「大(だい)なる目的」を持って生まれて来る。その者たちは同時期に再集結して事を行うのだ。その標(しるべ)は「時と場所」が与えてくれる。時を合わすには、正確な暦(こよみ)が必要だ。そして場所を合わすには、力強い引率者に恵まれなければならない。その引率者が龍神なのだが、龍神だけでは人間との接触が難しい。そこで間(あいだ)に入る尊霊が居る。つまり暦(こよみ)、そして龍神と尊霊の結束が「その者たち」を再集結させるのだ。略して「暦神(れきしん)の結束」と云う。しつこく説明するが、結束する神は「龍神と尊霊神」である。ところで暦(こよみ)を運用するのは何か、其れは太陽系の営みであって「國祖の息」と云う。ところで「國祖」とは誰(だれ)なのだろうか。その神名を言っても仕方がない。何故なら、人によって呼び名が違うからだ。そこで作者が持ち出すのは「現代人の得意技」科学用語である。但し、冷花は鎌倉時代の人である故、当時の雰囲気を含んだ言い回しをしたいところだ。ところで暦(こよみ)の基本は太陽の観察による。そして太陽のことを「密(みつ)」と呼ぶ習慣が在る。だから太陽が教えてくれる暦法(れきほう)を「密の教え」と言えば親しみが湧く。短く「密教」と呼ぶことにしよう。それから既に述べてはいるが、土星のことは鎮星(ちんせい)と云う。鎮星は密を周回する。そして納音(なっちん)と云う作用を地に齎(もたら)す。鎮星の内側には木星が居る。木星は十二年を司どる故に歳星(さいせい)と云う。歳星が協力してこそ納音は響きを明確にする。さて、此処で言いたいのは「前世の記憶」である。人は納音を聞くことによって「前世の記憶」を呼び覚ますことがある。もちろん誰でもと云う訳ではないが、現実に在る話だ。但し冷花は、前世を思い出さない。その方が冷花は役目を果たし易(よ)いからだ。その代わり、星名女(ほしなめ)が納音を浴びせて冷花を嗾(けしか)ける。冷花が星名女に飛行を見せてもらったことを覚えているだろう。実はあれ以来、星名女は冷花に「鎮星之舞(ちんせいのまい)」を披露する為に訪れている。三度目披露の時、冷花は「小母さん、もういいよ」と言った。それに対して星名女は「何か思い出しませんか」と言って、冷花の言葉を無視した。
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