冷花伝 #055 日本建国の逸話

 国が成り立つには、民(たみ)が必要である。最初は少数の民から始り、軈(やが)て社会を形成するのだが、その過程で最も必要なのが「安全の確保」である。病が襲うこともあれば、人間どおし争うこともある。当然、獣類(けものるい)からの護身も欠かせない。一部族が生き残り、勢力が拡大されて長く存続すれば、面尾総體(めんぴそうたい)に成る。分かり易く言うと「歴史がある」とか「伝統的」だとか云うことになる。さて現実に生き残る「力」とは何か。只の「誉(ほま)れ」では役に立たない。背後に武力が必要なのである。それでは「最大の武力」とは如何なるものか、其れは「環境からの援護」である。言い換えると「自然界を何(ど)れだけ味方に付けられるか」である。面尾(めんぴ)の「面(めん)」は現在であり「尾(お)」は過去を表す。総體とは図体(ずうたい)のことであり、時空を占めているエネルギーのことだ。現在の地球で最も大きな面尾総體は日本の天皇家である。その「尾」に就(つ)けられた象名(しょうな)を神武(じんむ)と呼称している。そして人としての代表に「帥升(すいしょう)」を抜擢するのである。そして此処からが大切だ。大きな図体(ずうたい)を操作しなければならない。その導きは、大地を取り囲む「星神」によって成される。それは運びを司ることなので「司運(しうん)」と云う。何やら難しそうに思えるが、案外と単純なものだ。暴走を防ぐだけなのだ。この宇宙に発生する生命には、元来備わった智(ち)がある。密教では「如来蔵(にょらいぞう)」と呼んでいる。しかし如来蔵を持っていても生命は必然的に熱暴走する。それを上手に冷却し、司運を正常ならしめることが出来れば良い。帥升と昴女の逸話は、日本建国の嚆矢(こうし)における司運の逸話なのである。そして裏方として、多くの尊霊が居る。そう云えば仙町録に「良い働きをする人間には百人以上の尊霊が就いている」と記されている。冷花の言葉としてあるが、追蛇女龍神が口癖のように言っていたそうだ。

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