冷花伝 #057 一族の結束

彼(かの)空海が入唐を果たし、密教を日本へ持ち帰った。それは佐伯氏の後押しがあったからである。如何なる天才であっても、単身だけでは偉大な事業は成せない。要するに「一族の結束」が行われている。千年単位が「暦神の結束」ならば、「一族の結束」は百年単位である。或いは、血縁関係がある一族で行われる結束とも定義できる。もちろん色んな結束様(けっそくよう)があるだろうが、此の二種を知っておくと把握しやすいはずだ。ところで末目彦の働きは、母との結束によって偉大な働きをする。それでは、冷花の一族を考えてみよう。冷花の出生は嗜乃津(たしなず)であるが、母の里は為津(なしず)村である。仙町録によれば、その地に居った占星術師が冷花の高祖父になる。読者は御承知の汝我(じょが)であるが、音象詩には「冷花の祖父」と書いてある。若し祖父であれば、甲子の父と云うことだ。何れが正しいかは検証の機会を待つとして、此処で言いたいのは、汝我を筆頭にした「一族の結束」が冷花を世に送ったと云うことだ。末目彦が「冷花が尊霊界の危機を救うかもしれない」と期待していたことと、汝我一族の動きは一致する。そこで危機の原因が「連妖の放つ怪音」だったことを思い出して欲しい。そして内海に在る水壁の発生は、運航する船に原因があった。最初に汝我を紹介した折、現在の占星術師とは違うことを告げた。其の実、汝我の就いていた官職の役目は、船の運航を監視することなのである。

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