架族魚(かぞくぎょ)が現れた日から二週間ほど経った朝、甲子は冷花に詳しく聞いてみた。直ぐに聞きたかったのであろうが、暫く考えていたようだ。あの日以来、冷花の目線に落ち着きがなくなったことも気に掛かっていたのだ。
母「何か見えるの。瞳が動いてるわ」
冷花「見えないから落ち着かないのよ。母さんは妖精が見えるのでしょ」
母「どれだけ見えてるのか分からないけれどね。そう云えば御父さんは、曇の日だったら何となく見える。って言ってたわよ」
冷花「お天気によって違うんだ。明るかったら見えないのかな。でも、妖精って色々居てるんでしょ。今まで、どんなの見たか教えてよ。そう云えば浮気伝にも妖精が出てきてたんでしょ。冷花は御話イッパイ聞いたけど、妖精とか神様とか考えていなかったな。母さんの話を聞いて楽しいだけだったから」
冷花が「浮気伝」と言ったところで、甲子(かし)は目を輝かした。其れに気付いた冷花は「母さん、目が大きくなったけど。何か私の傍(そば)に居てるの」と、自分の周りを見回(まわ)した。甲子は少し微笑んで「いいえ、何も居ないわよ。私の目が大きくなったのはね。あなたが浮気伝っていったからなの。ところで冷花、夢に小さな御人形(おにんぎょう)のような子供が現れたって言ってたでしょ。どんな感じの子供だった」母から夢のことを聞かれた冷花は、数分間、目を閉じて思い出していた。「変な服を着ていたな。臍(へそ)が見えていて、手の袖か短かかった。髪の毛は冷花と似ていた。それから、話し方は大人みたいだった」冷花が言ったのは其れだけだったが、甲子は其れで確信出来た。「きっと、その子が私に御話を伝えてくれてるのだわ」それを聞いた冷花は何を思ったのか、自分の臍を出して「こんな形の臍だったよ」と、周りを押さえて変形させた。すると母も臍をだして、冷花の真似をした。それから暫く、母と娘(こ)の「臍出し談話」が続いたが、甲子は急に目を輝かした。それを見た冷花は、母がふざけたのだと思い「母さん、また目が大きくなったよ」と言って、大笑いした。しかし甲子は真面目な顔をして「星名女さんだったら、妖精のことを詳しく知っているのじゃないかな」と言った。すると次の日、何故か星名女が尋ねてきた。
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