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鯉冥士の物語 #018「星座の誕生日」(JT 16:03/14/12/2022 三蔵)

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宇宙の誕生日は遥か昔のこと。でも星座の誕生日は「私と同じなのよね」と、十六歳の鯉冥は確信した。これが将来「閏」の本性を暴いて行く鯉冥天文学「時杭里」の理論へと展開するのである。そして鯉冥の初実験は「星座を自分で造ってみよう」と云う試みからだった。 JT 16:03/14/12/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #017「水鏡を覗く太陽」(JT 18:36/13/12/2022 三蔵)

父はいきなり話題を変えた「太陽の時間はね、此処と同じだよ」鯉冥は直ぐに返した。「なぜ」父は得意そうな顔で「星には誕生の里(り)が在ってね。同じ里で産まれた星どおしは双子や三つ子みたいなもので、同じ時間を過ごすのだよ」鯉冥は「やっぱりだ」と頷いた。 JT 18:36/13/12/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #016「水鏡に映る月」(JT 22:28/25/11/2022 三蔵)

六歳の時、鯉冥の心はいつも月を見ていた。月を描いて、それを通して周囲を見ていたのだ。其処に居る母は幼く、妹のようだった。「月と此処(ここ)は時間が違うの」と父にも聞いたことがある。「見ている月は同じだよ。でも」と、父の答えはそこで詰まってしまった。 JT 22:28/25/11/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #015「太陽を映す月鏡」(JT 00:02/20/11/2022 三蔵)

鯉冥が六歳の夏「お母さんは鯉冥よりも年上だよね」と、おかしなことを聞いた。誰も驚かなかったのだが「お母さんのほうが年上ですよ」との答えに、鯉冥が目を丸くしていた。(お母さんは月に写っているのよね)と鯉冥は呟いて、何やら納得したようだった。 JT 00:02/20/11/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #014「二つの身体」(JT 05:24/16/11/2022 三蔵)

 夜毬と呼ばれていたのは三歳になるまでだった。六歳からは鯉冥(りめい)、この名が所謂(いわゆる)本名である。不思議なことに、童女としての三歳から五歳は「どのように呼ばれていたのか」不明なのだ。本人によれば「それは、もう一體の身体」だったと云うのだ。 JT 05:24/16/11/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #013「海焼けの理由」(JT 04:02/06/11/2022 三蔵)

 大地の輝きは太陽の光を受けているから。そう想えるのは優しい証拠だ。大地が光を受けてやっているから、太陽は輝けるのだ。そう想うのは厳しいからだ。しかし最も太陽を輝かせているのは月が居てるからだ。だから月が暗くなる七日前、海焼けは現れる。 JT 04:02/06/11/2022 三蔵 解説(鯉冥士の物語 #013)優しい観測とは「時間も空間も広域に眺める」こと。厳しい観測とは「時間も空間も狭域に眺める」こと。鯉冥士の一家は「華厳経」を纏めて行った学派である。特徴は「一即多、多即一」で代表される。またもや難しい話になってしまった。次回からは、童女に成った夜毬を語る。 JT 22:00/06/11/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #012「母心と星の願い」(JT 03:49/05/11/2022 三蔵)

夜毬の誕生を願ったのは「星の望み」だった。望みは「秩序ある時の流れ」を築くこと。それには星全体と通じる「人」が必要だったのだ。一緒に願ったのは「母」そして、それを理解したのは「父」だ。転児の学説は「母心」を天から読み解くことであったと想える。 JT 03:49/05/11/2022 三蔵  解説(鯉冥士の物語 #012)楽しく読める「仙人さんの物語」のはずが、難しくなってきました。でも、暫く我慢すれば「華麗なる女仙の一生」を語り始めます。母心とは「宇宙の初発」を意味しますが、それに「女としての母が通じる」と云う理論です。母体は宇宙と我々を繋ぐ通法具だと云う考えです。 JT 12:33/05/11/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #011「星からの願い」(JT 02:25/03/11/2022 三蔵)

 夜毬が誕生して一年が経った。その日、星からの願いが届いた。産声を上げた日と同じように、綺麗な海焼けになったのだ。それを観測した父は確信した。「夜毬の誕生は星からの願いだった。そして、この子が願いを叶えてあげた」さて、最初に願ったのはどっち。 JT 02:25/03/11/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #010「赤子と父の学説」(JT 15:58/02/11/2022 三蔵)

夜毬(鯉冥士の幼名)が誕生したのは支那王朝「隋」の時代、西暦599年。神話「伏義の易経」とペルシャ天文学を頼りに「天円が人の一生を導く」とする学派が主流になる中、転児は「人の内なるものが天に与景する」と考えていた。そして娘の寝息で、その確信を得た。 JT 15:58/02/11/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #009「父と母の対話」(JT 00:22/01/11/2022 三蔵)

 母の劫初(ごうしょ)と父の転児(てんこ)が、生後三ヶ月の夜毬(よまり)を眺めていました。「寝息が何かを話しているように聞こえるな」と父が言う。「話している夢を見ているだけです」と母が答える。「ここで話しているのじゃないよ」と天が囁(ささや)く。 JT 00:22/01/11/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #008「大人になった夢」(JT 00:21/31/10/2022 三蔵)

夜毬の夢を覗いてみると、中を舞う仙女が見える。世界を飛び周り、他国で多くの者と語り合っている。ところで一体、誰が夢を覗いたのだろう。それは尾を互いに噛み合った二體の飛蛇(龍神)だった。そしてそれは小さくなり、冥士の中に住んでいる。 JT 00:21/31/10/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #007「赤ちゃんの夢」(JT 00:19/30/10/2022 三蔵)

冥士が赤子の時「夜毬(よまり)」と呼ばれていた。寝顔がまるで夢を見ているかのように観えるからだ。夜毬とは「夜遅くまで働く人」のこと。人々は「赤子は夢を見ない」と思い込んでいた。しかし夜毬は夢の中で、仕事をしているかのようなのだ。 JT 00:19/30/10/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #006「母子の相抱域」(JT 00:18/29/10/2022 三蔵)

親子の一形態は「親が子の命を護り、親が老いれば子が親の命を護る。親に産んでもらった子が、親が隠れるのを助ける」その流れを一瞬で興こせば、親子が相抱擁していることになる。劫初が冥士を抱くと同時に、劫初は冥士に抱かれているのだ。 JT 00:18/29/10/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #005「愛おしい理由」(JT 07:17/28/10/2022 三蔵)

 鯉冥士の物語 #004「愛おしい理由」 「人間は自己の生存を優先する。しかし子は何故か愛おしい」転児の疑問である。「海焼け」を観ていると益々そのように思うそうだ。海焼けの時、一部の生物が共食いをするのだが、その勢いは誰にでも現れる。そして人も、その影響を受ける。 JT 07:17/28/10/2022 三蔵 つい先程、鯉冥士の物語を呟いた。先ず連番の間違いを指摘しておく、正しくは #005 である。次に「海焼け」とは何かであるが「夕日に限定して、海面の色が空以上に明るく見える現象」のことだ。何でもない風景と思いがちであるが「天体との関連がある」ことを転児は気付いたのである。 JT 07:26/28/10/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #004「対衝の抱擁」(JT 06:17/26/10/2022 三蔵)

 押すと押し返す。世界は、対衝(ついしょう)の力が拮抗する構造だ。とはいえ「親に抱かれた子供が、親を抱きしめ返す」そのような対衝は時間単位が広いから直ぐには起こらない。子供は抱かれているだけに観える。ところが劫初の体験は違っていた。 JT 06:17/26/10/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #003「時の定まり」(JT 13:28/25/10/2022 三蔵)

 劫初は子育てが得意なタイプではない。実は、苦手なほうだ。早くから母になっていた妹の子に悩まされた経験が其れを物語る。しかし「我子とは可愛いものです。いいえ、心地好いとでも申しますか。時に抱かれたような感覚になります」と言う。 JT 13:28/25/10/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #002「異端占星術」(JT 15:02/23/10/2022 三蔵)

 一般占星術は「主な星座を認識してから神話を語り、それに纏(まつ)ろうストーリーを人の一生と合わせる」しかし、転児の考えは異なっている。先ず、星座は静かなるもので人生を語らない。と云うのだ。それを、我子の誕生が証明することになる。 JT 15:02/23/10/2022 三蔵

鯉冥士の物語 #001「海焼けの雲」(JT 20:10/22/10/2022 三蔵)

 村の神祭(かんさい)を担う女、劫初(ごうしょ)が懐妊したのは秋の立分(たてわけ)と伝えられる故に、暑さも和らいだ頃。父親になるのは筒目を習いとする転児(てんこ)である。転児が知らせを受けたのは海焼けの観察中、雲が異常を現わしていた。 JT 20:10/22/10/2022 三蔵 #001 に在った「筒目(つつめ)」とは、望遠鏡をイメージすると良いですね。レンズは無くとも、筒で星を眺めると位置を把握し易いのです。「目」とは観察心が基本の意味です。例えば、女神の「渦目(うずめ)」は宇宙の動きを「観察する心」を表現しています。「宇宙は渦」だからです。 JT 03:59/23/10/2022 三蔵

鯉冥士の物語「はじめに」(JT 06:29/21/10/2022 三蔵)

 鯉冥士の物語「はじめに」 私が語る仙人譚の代表は「女仙経」である。今は仙人との接見を目的とした「仙昇戯水譚」を開講中だ。ツイッター上で語り始めた鯉冥士については、世界情勢を理解する過程で現れた。よって一般公開しながら纏(まと)めてみようと思う。 JT 06:29/21/10/2022 三蔵

鯉冥士の天文学(JT 11:49/19/10/2022 三蔵)

 鯉冥士の天文学は「時間の杭は何処」を追及するものだ。師の藍菜和から、宙界(宇宙)の広がりを学んだことが契機になったようであるが、子供の頃から「夢の中で経過する時」について考え続けていた。普通の刹那が、何故に夢の中では長く感じる。これが時杭里の論的である。 JT 11:49/19/10/2022 三蔵